約 2,491,936 件
https://w.atwiki.jp/incho/pages/13.html
委員長 学級委員長・クラス委員長・組長など 女子 名前 作品 学校 所属 備考 赤沢 泉美 Another 夜見山北中学校 3年3組 秋山 文緒 月は東に日は西に ~Operation Sanctuary~ 蓮見台学園 2年 朝倉 涼子 涼宮ハルヒの憂鬱 (西宮北高等学校) 1年5組 朝比奈 英理子 ぱにぽに 桃月学園 2年A組 風紀委員長兼任。ぱにぽにWiki 天宮 小百合 ときめきメモリアル Only Love 私立つむぎの高校 2年 生徒会書記兼任 綾瀬川 霧乃 えむえむっ! 私立桜守高校 1年 絢辻 詞 アマガミ 輝日東高校 2年A組 創設祭実行委員。アマガミwiki 杏藤 子々 ヒャッコ 上園学園高等部 1年6組 安藤 都子 euphoria 六慶館学園 2年 飯田 秋乃 W~ウィッシュ~ 私立桜浜学園高等部 1年B組 井伊野 みき いいんちょ。 区立真園中学校 2年A組 伊院 千代 瀬戸の花嫁 磯野第八中学校 一条 ぱにぽに 桃月学園 1年C組 ぱにぽにWiki 上野 錐霞 C3 シーキューブ 私立大秋高校 C3 -シーキューブ-wiki 大塚 舞 スクールランブル 矢神学院高等学校 2年C組 大塚 光子 はつゆきさくら 白咲学園 3年 大音 灯花 車輪の国、向日葵の少女 大森 みのり ぱにぽにだっしゅ! 桃月学園 3年D組 図書委員兼任 御茶ノ水 撫子 いいんちょ。 区立真園中学校 3年B組 生徒会副会長兼任 神楽 ひなた H2O ~FOOTPRINTS IN THE SAND~ 柏葉 巴 ローゼンメイデン 2年6組 ローゼンメイデンWiki 川村 くみ エイリアン9 第9小学校 1~5年生 北神 未海 極上!!めちゃモテ委員長 武蔵野森山学園高等部 2年6組 北嶋 由香 ぱにぽにだっしゅ! 桃月学園 1年D組 ぱにぽにWiki 木ノ下 りんご おとぎ銃士赤ずきん 清浦 刹那 School Days 榊野学園 1年3組 久沢 佳織 奴隷委員長 ~孕ませ調教~ 櫛名田 眠 おおかみかくし 九代 涼子 発情女子校生 DEVOTE2 ~いけない放課後~ 私立 倉永 梢 ヨスガノソラ 香坂 彩乃 もしも明日が晴れならば 後醍 珠緒 いいんちょ。 区立真園中学校 1年E組 近衛 光莉 学☆王- THE ROYAL SEVEN STARS - 近衛ヶ原学園 5回生 此花 ルチア Rewrite 風祭学院高校 Rewrite wiki 小嶺 幸 グリザイアの果実 私立美浜学園 1年 近藤 繭佳 お兄ちゃんのことなんかぜんぜん好きじゃないんだからねっ!! 榊 しのぶ 天使のいない12月 榊 千鶴 マブラヴ 白陵大付属柊学園 3年 坂崎 嘉穂 よくわかる現代魔法 1年 嵯峨野 小霧 いいんちょ。 区立真園中学校 1年C組 桜木 ゆかり Another 夜見山北中学校 3年3組 笹田 純 夏目友人帳 2年2組 佐藤 千夏 ぱにぽにだっしゅ! 桃月学園 1年D組 ぱにぽにWiki 佐藤 良美 つよきす~Mighty Heart~ 私立竜鳴館 2年C組 生徒会執行部 沢井 麻耶 D.C.II ~ダ・カーポII~ 風見学園付属 3年3組 三条 海里 しゅごキャラ! 聖夜学園 元 地蔵 亜美 オオカミさんと七人の仲間たち 御伽学園高等部 2年 篠宮 初乃 いいんちょ。 区立真園中学校 1年D組 嶋村 有 おまもりひまり 白梅 梅 ベン・トー 私立烏田高等学校 1年 生徒会長兼任 白鳥 マリア 絶対無敵ライジンオー 陽昇学園 5年3組 スージー天羽 いいんちょ。 区立真園中学校 2年B組 杉浦 小春 WHITE ALBUM2 峰城大付属 3年A組 涼月 奏 まよチキ! 私立浪嵐学園 2年 瀬川 泉 ハヤテのごとく! 白皇学院 1年7組 瀬名 愛理 ましろ色シンフォニー 私立結姫女子学園 2年T組 瀬奈 雪絵 ぱにぽにだっしゅ! 桃月学園 2年B組 ぱにぽにWiki 園崎 魅音 ひぐらしのなく頃に 染井 ヨシノ メゾン・ド・ペンギン 高良 みゆき らき☆すた 私立陵桜学園 3年B組 武田 桂 元気爆発ガンバルガー 4年 地井 恵美梨 いいんちょ。 区立真園中学校 2年C組 千鳥 かなめ フルメタル・パニック! 陣代高校 鶴眞 心乃枝 この中に1人、妹がいる! 私立深流院学園 2年 冬野 桜子 世界征服彼女 湘西学園 2年 桐元 葛葉 はぐれ勇者の鬼畜美学 JPNバベル Bクラス 飛び級 中慈馬 早苗 すもももももも 地上最強のヨメ 2年C組 長津田 夕美 キスベル 2年 流 静 せんせいのお時間 興津高校 2年A組 七転 ふみつき HAPPY★LESSON 私立こよみ学園高等部 3年B組 鳴子 叶絵 迷い猫オーバーラン! 私立梅ノ森学園 2年 鳴海 ナクル まよチキ! 私立浪嵐学園 1年 仁科 葵 いいんちょ。 区立真園中学校 1年B組 ニナモリ・エリ フリクリ 6年 丹生谷 森夏 中二病でも恋がしたい! 羽川 翼 化物語 私立直江津高校 3年 柊 かがみ らき☆すた 私立陵桜学園 (1年時) 元 一橋 はるか いいんちょ。 区立真園中学校 1年A組 日向 伊吹 星空へ架かる橋 山比古南学園 2年 日比生 咲苗 大番長 聖域学園 姫川 風花 カミカゼ☆エクスプローラー! 澄之江学園 2年 藤乃 なつき ひなたテラス 陽崎学園 2年 藤林 杏 CLANNAD 光坂学園 3年E組 藤林 椋 CLANNAD 光坂学園 3年D組 毒島 みく らき☆すた 私立陵桜学園 3年C組 保科 智子 To Heart 2年A組 洞木 ヒカリ 新世紀エヴァンゲリオン 第壱中学校 2年A組 美浜 ちよ あずまんが大王 (1、2年時) 美坂 香里 Kanon 2年 水無月 大和 神風怪盗ジャンヌ 2年 皆村 愛理 With Ribbon 刻泉学園 宮前 かなこ まりあ†ほりっく 天の妃女学院附属中学高等学校 2年A組 美作 アリス 俺の彼女はヒトでなし 2年逸見組 美輪 椿姫 G線上の魔王 自由ヶ咲学園 生徒会長兼任 睦 芽依 いいんちょ。 区立真園中学校 1年F組 森野 苺 おねがい☆ティーチャー 県立木崎高校 1年 おねがい☆ツインズでは生徒会長に 山乃 檸檬 あの夏で待ってる 3年 雪城 ほのか ふたりはプリキュア ベローネ学院女子中等部 3年桜組 キュアホワイト 雪広 あやか 魔法先生ネギま! 麻帆良学園中等部 2年A組・3年A組 若瀬 いずみ らき☆すた 私立陵桜学園 2年E組 男子 名前 作品 学校 所属 備考 東 ひろし いいんちょ。 区立真園中学校 3年C組 生徒会書記兼任 池 速人 灼眼のシャナ 御崎高校 1年 臼井 影郎 さよなら絶望先生 2のへ組 瓜生 新吾 ましろ色シンフォニー 私立結姫女子学園 2年T組 風見 智彦 Another 夜見山北中学校 3年3組 北原 春希 WHITE ALBUM2 峰城大付属 3年E組 前期のみ委員長 北村 祐作 とらドラ! 大橋高校 2年C組 生徒会副会長兼任 東郷 雅一 スクールランブル 矢神学院高等学校 2年D組 飛田 裕 学園アリス アリス学園 初等部B組 錦織 猿之助 ジュエルペット サンシャイン サンシャイン学園 3年ウメ組 花井 春樹 スクールランブル 矢神学院高等学校 2年C組 羽田 鷹志 俺たちに翼はない 私立美空学園 3年A組 一橋 まなぶ いいんちょ。 区立真園中学校 3年A組 生徒会長兼任 丸尾 末男 ちびまる子ちゃん 清水市立入江小学校 3年4組 流崎 力哉 元気爆発ガンバルガー 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/mekameka/pages/3804.html
遊戯王5D’s タッグフォース6 メーカー KONAMI 発売日 2011年9月22日 対応機種 PSP TVアニメ「遊戯王5D’s」を題材にした、対戦型カードゲーム 登場キャラ42名 収録カード5300枚以上 前作 遊戯王ファイブディーズ タッグフォース5 や行 キャラゲー プレイステーションポータプル な行~ 遊戯王ファイブディーズ タッグフォース5 PR 遊・戯・王5D's TAG FORCE6 PSP版 Limit Over Tag Duel KONAMI公式攻略本 (Vジャンプブックス)
https://w.atwiki.jp/incho/pages/14.html
副委員長 女子 名前 作品 学校 所属 備考 オパール ジュエルペット サンシャイン サンシャイン学園 3年ウメ組 小牧 愛佳 To Heart2 2年 高内 昌子 俺たちに翼はない 私立美空学園 3年A組 花菱 美希 ハヤテのごとく! 白皇学院 1年7組 生徒会役員 男子 阿良々木 暦 化物語 私立直江津高校 3年 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/gamemusicbest100/pages/5016.html
遊☆戯☆王5D'S TAG FORCE 6 機種:PSP 作曲者:藤森崇多,広野智章,佐藤敦史 発売元:コナミ 発売年:2011 概要 タッグフォースシリーズ『遊戯王5D'S』の最終作。アニメのクライマックスまでが題材となっており、ストーリー上前作から繋がりがある。 5D'sの集大成となっており「遊戯王」のゲームの中でも評価が高い。 付属のカードの関係もあって市場でプレミア化されていたが、2013年にダウンロード版が発売されてプレイしやすくなった。 ちなみに前作でもそうだったのだが、ネット配信されているデッキレシピにはネタが多い。中にはゲームの発売日に合わせて配信されたものも…。ニコニコ動画にアップロードされた一投稿者によるタッグフォース6の動画がレシピのネタにまでされた。 今作もデュエル曲が軒並み変更。特にディスティニードロー時の「Brave」が人気。 収録曲(ミュージックプレーヤー順) 曲名 作・編曲者 補足 順位 REVENGE Tomoaki Hirono タイトル・メインメニュー Particle Tomoaki Hirono デッキ編集 Spiritual Sota Fujimori New Item kobo パック開封 Challenging DUEL kobo Feel Great kobo デュエル勝利 Never Mind kobo Doom kobo バグにより登録されない Destination Map Sota Fujimori 全体MAP Bartender Blues Tomoaki Hirono 旧サテライト広場 Back Ally kobo Be With you Sota Fujimori マーサハウス Chatting Sota Fujimori 全体MAP Funky City Sota Fujimori シティ繁華街 Arcadia Security Sota Fujimori Top Of The City Miki Murai デュエルアカデミア Lua*Luca Miki Murai 龍亞と龍可のペントハウス My Room kobo 自室 Eeriness Tomoaki Hirono アーククレイドル Gloomy News kobo Day-To-Day kobo Gray Cloud Tomoaki Hirono Disquiet Miki Murai Confusion Miki Murai A Crisis Miki Murai Ancient Memory Miki Murai Sorrow Miki Murai Wing To Tomorrow Tomoaki Hirono Lamp Of Hope Tomoaki Hirono The Duel Stadium Miki Murai デュエルスタジアム Maze Tomoaki Hirono West Coast Sota Fujimori デュエル Discovery Sota Fujimori デュエル Back to 2001 Pt3 Sota Fujimori PSP50位 Jumpin' Sota Fujimori PSP104位 Eighties Sota Fujimori デュエル BikeRace Sota Fujimori WRGP戦デュエル PSP115位 Goin'2Makeit Sota Fujimori デュエル Shock Wave Sota Fujimori デュエル Images Sota Fujimori デュエル Brave Tomoaki Hirono ディスティニードロー 第6回912位2011年143位PSP5位 Don't Wanna Loose Sota Fujimori TF5デュエルの曲 Toward The Light Sota Fujimori ミュージックプレーヤー未収録分(仮タイトル) オープニング エンディング イベントタイトル画面 デュエル地蔵 旧モーメント
https://w.atwiki.jp/oshikake/pages/20.html
階段の板を規則正しく踏む音が聞こえてきたと思ったら、すぐに足音の主は現れた。 「おはよう」 「……おはよう。あなた、昨日勉強が終わってすぐに寝たの?」 「うん。すぐに寝たよ。もう眠かったから」 「ということは私と同じくらいに寝たってことよね……」 寝ぼけ眼を擦りながら委員長は言葉を漏らす。 「私にはもう朝ご飯が出来てる気がするのだけど」 「できてるよ?」 「…………」 不満そうというか、不思議そうというか、委員長はいつもよりも目を幾分か細めて僕とテーブルの上の朝食を交互に見た。 「あ、もしかして朝はパンの方が良かった?」 「別に。家ではご飯だったから」 「そっか。それならほらほら、早く座って」 僕は委員長に昨日と同じ、向かい側に座って貰うように言う。まだ小さな欠伸が止まらず、だけどさすがに既に制服に着替えている委員長は操り人形がごとくやおら頷き、椅子に座った。 「いただきます」 「……いただきます」 どうやら委員長は朝が弱いようで、夢にまた片足を突っ込んだままみたい。その瞳もどこか焦点が合わないような様子でいつもよりも随分柔らかな印象を受ける、なんて言ったら怒られるかな。「普段は嵐か何かみたいじゃない」とか。 「……まさか朝起きたら包丁の音が聞こえるなんて生活が体験できるとは思ってもみなかったわ」 「あれ、普段は委員長って朝ご飯どうしてるの?」 「私が全部作ってるわ。母は朝が弱いし、父と妹はからっきし家事は駄目だから」 「そうなんだ。……あれ? それじゃあ今、委員長の家は誰が料理してるの?」 「知らないわね。多分それぞれ勝手に食べてるんじゃないかしら」 「……いいのかな」 「構わないわよ。うちのことは気にしないで」 なんだか素っ気無いけれども、味噌汁の椀を傾けてほうっと溜め息を吐いている委員長はなんだか本当にいつもの委員長とは全く雰囲気が違う。何か 別の人に乗り移られたんじゃないかっていうくらいに。どっちの方がいいかと言うと……どっちも委員長なのには変わりないから別にどちらとも言えないかな。 焼き鮭を突付いていると、夢遊病にでも掛かったかのようにふらふらと立ち上がって台所へ向かう委員長。 「どうしたの?」 「飲み物が欲しいわ」 「麦茶でもいい?」 「ええ」 「じゃあ座ってて。持ってくるから」 委員長は素直に頷いて再び椅子に座った。好きなように家のものを使っても構わないんだけど、今の委員長の状態はぼんやりしすぎていてちょっと危ないから、もしかすると間違えて醤油を持ってきたりしそうだ。 僕が冷蔵庫を開けて麦茶を作ったボトルを取り出した直後に、突然椅子をひっくり返しそうにしながら委員長が立ち上がった。なんか昨日もそんなことあったような。 「し、7時40分!?」 「え?」 「もう出ないと間に合わないわ!」 さっきまで夢と現実のどちらもの住人だったとは思えない勢いでリビングを出ようとする委員長に、僕は思わず麦茶の入ったお茶のケースを持ったまま目を点にして委員長を見ていたけど、 「待って!」 なんとか我に返った僕は慌てて引き止める。 「何?」 「委員長ってバス通学だったよね」 「そうだけど」 部屋の扉を掴んだまま、眉を1センチほど吊り上げて「早くして」との意思表示。その委員長を落ち着けるためにゆっくりと喋る。 「委員長の家からだともう出なきゃいけないかもしれないけど、ここは僕の家だよ」 「………………あ」 十分長い空白の後、呆気にとられた声で委員長が呟く。 「……不覚だったわ」 もう見慣れた溜め息を吐く姿を見せてから、ゆるゆると歩いて席に座りなおす委員長。なんというか、昨日から普段見れない委員長の姿が見れて面白いかな。お母さんや叔父さんには感謝しないといけないのかも。もちろん口が裂けてもそんなこと言えないけど。 「うちからだと徒歩でも10分も掛からないから、いつも8時30分くらいに出ると丁度いいくらいなんだ」 「確かに学校から近かったわね。徒歩で10分足らず、便利だわ」 「うん」 さっきまでの儚げな雰囲気とは打って変わって、完全に目を覚ましたもののどっと疲れた様子の委員長は僕が持ってきた麦茶を一気に飲み干した。 「ふう。朝からこんなにバタバタしたのも久しぶり」 「そうなんだ」 委員長の朝の様子って……なんか想像つかないな。両親も凄く真面目な人で委員長とさっき妹さんが居るって言ってたから4人とも無言で朝ご飯を食 べないと怒られそうな気がする。そうすると確かにこんなにバタバタすることなんて無さそう。学校でも全くそんな姿見たことが無いし。 朝ご飯を再開してすぐに委員長がお味噌汁をじっと見つめた。 「お味噌汁、赤なのね」 「白か合わせの方が良かった?」 「ううん、そうじゃなくて。うちは誰も味噌とか気にしないから、そのときそのときに安いもので済ませちゃうの。たまたま味噌が切れたときに白とか合わせが安くなってたから、このところ赤は全然飲んでなかったの」 「うちのお母さんは赤じゃなきゃ味噌汁じゃない! って言うからいつも赤なんだ。白はちょっと甘口だから好きじゃないんだって」 「分からないでもないけど、少し言い過ぎかしらね」 「うん、僕もそう思う」 こんな会話をしながら食事をするのも久しぶりな気がする。と言ってもまだ2週間くらいのはずだけど。お母さんは朝からでも良く喋ったから、ちょっとだけでも長く感じるのかもしれない。 「ごちそうさま」 「お粗末さまでした。食器はシンクの中に置いといてくれれば僕が洗うから」 「分かったわ」 委員長は割と遅めの僕よりもさらに遅いペースで食べていたから、時計を見ると8時をほんの少しだけ越した時間になっていた。 「私はそろそろ行くわね」 「早いね」 「この時間ならまだ学校の生徒の登校時間ではないから。人が増えれば増えるほど、見つかる可能性が高くなるし」 「あ、そういえばそうだね」 「……あなたは気楽でいいわね」 委員長、今日既に2回目の溜め息。 とんとんと規則正しい階段を上る音とすぐに取って返すように同じリズムで下りてくる音。多分鞄を取りに行ったんだと思う。 食器を洗おうと台所へ向かうと、足音はそのまま玄関の方へ向かったから、僕は慌てて玄関まで行く。 靴の爪先で玄関を打ちながら委員長が振り返って僕を見た。 「何? あなたも行くの?」 「ううん、そうじゃなくて」 委員長の家がどうかは知らないけど、うちは必ずお母さんがこうしていた。だから僕もしておこうと思う。 「いってらっしゃい」 呆けたような表情でしばらく僕を見ていた委員長は、いつもの溜め息とは違って、笑ったように息を吐いてから、 「いってきます」 扉を開けて出ていった。
https://w.atwiki.jp/oshikake/pages/33.html
「起きなさい!」 「うわあ!」 後から思い出すと、凄く情けない声だと思ったけど、せっかくゆっくり休んでたところを唐突に起こされたら、きっと誰でも多少はこんな声が出てしまうと思う。だから別にこれは僕のせいじゃないんだ。 眠い目を擦りながら僕は昨日干したばかりの布団ごと上半身を起こすと、肩を激しく揺さぶられて一瞬で意識が戻る。 で、鼻先が触れ合うくらいのところに委員長の顔があって、僕はまた「あうあ!」って変な声を出してしまう。 最近思ったんだけど、委員長って冷静なときはもちろん凄く冷静だけど、何か思い込んだりやらなきゃいけないことを見つけたらのめり込んで周りが見えなくなるタイプなのかも。後、あまり僕を男として認識してない気がする。もうちょっと考えて欲しいかな、いろいろと。 ふんわりと、優しい香りがして再び少しだけ呆けていたら、 「向井君!」 「は、はは、はい、御免なさい、御免なさい!」 もう何が何だか分からなくなって、とりあえず謝ってみる。何も悪いことをした覚えはないけど、こんなに掴みかかってくるくらいなんだから、きっと何かしたんだ。 「何で謝ってるの」 「えっと…………なんでだろ」 素直に言うと、むしろ僕の方が「何で?」って聞きたい。「何でそんなに慌ててるの?」って。 僕の、自分で言うのもなんだけど、奇行のお陰か、委員長も一旦は落ち着きを取り戻したようだったけど、それでもまだヤジロベエみたいにふらふら と落ち着きが行ったり来たりしているみたい。肩を怒らせて僕を押し倒す勢いでベッドに膝を立ててきた。っていうか実際、僕は再びベッドで仰向けにならざる を得ないくらいに、委員長は僕に接近していた。 何というか、ここだけ見ると見る人によっては酷く誤解されそう。特に話をややこしくする同居者がこんなタイミングで現れたら―― 「あら。お楽しみタイムだったのかしら。せっかくのところ、お邪魔して悪かったわ。後は若い者に任せて、オバサンは退散……ふふふ」 ――これはきっと「ですよねー」って言うタイミングなのかも。住倉さんならやると思ってた。 「向井くん」 「……何?」 もう僕は覚悟を決め、目を伏せてから委員長の声に耳を傾ける。もうどうにでもしてください。 「ややかをあなたの隣の部屋に移動させて頂戴」 「…………え?」 ビンタとかそういう方法に来るのかと思いきや、全く別方向の申し出に僕は思わず激しく瞬きを繰り返し、それと同時に頭の中にクエスチョンマークを量産し始めた。 どういうことだろう、と頭を巡らせてみるけど分かるはずもなく、そもそもその疑問を確実かつ素早く解決する方法があるんだってことに気づいた。 「あの、どういうこと?」 「とにかく!」 「は、はい!」 疑問、解決ならず。 有無も言わせぬ委員長の言葉に、僕は激しく首を縦に振ってから慌てて部屋を飛び出し、 「……はあ」 僕、何でこんなことになってるんだろう、と委員長から伝染したみたいに溜息を漏らした。 隣の空室に置いてあった家財道具等々を僕の部屋に運び終え、やや不服そうな住倉さんと眉を吊り上げて戻す様子のない委員長の間で肩身の狭い思い をしながら、ひとまず自分の部屋に集めた。というのも、未だに委員長が僕の隣の部屋に無理やり住倉さんを引っ越しさせた理由がさっぱり見えないから。 壁際にいろいろモノを寄せてはみたものの、若干物置のようになりかけている僕の部屋の中心で、昨日委員長と勉強会をしていたテーブルを三人で囲む。委員長がまだ落ち着かないようだったから、ココアとバウムクーヘンを持ってきた。 ココアを一口飲んで、ようやく本当に落ち着きを取り戻したらしい委員長が静かに話し始めた。ここに落ち着くまで、結局30分近く掛かったわけだけど、まあ最終的に事情が聞けるだけ良かったとした方がいいかも。反論して、これ以上話がこじれたら嫌だしね。 と思っていたのに。 「……」 何故か沈黙。 「あ、あの……?」 「…………ちょっと待って。ちゃんと話してあげるから」 何かとてつもなく言いづらそうな様子。それを見て、大抵いつでも助け舟にならない助け舟が現れた。 「トイレに入っている間に、話し掛けられただけでそんなに腹を立てなくても良かったと思うのだけど」 バウムクーヘンの四分の一カットを、せっかく持ってきたフォークを無視しつつ、リスか何かみたいに両手で持ってもさもさ食べてた住倉さんがちらりと横目で委員長を見る。 あー。なんとなく今の言葉だけで、誰が原因なのかは良く分かった。 「あんなところで話し掛けられるなんてこと、普通は無いわ! それも実況中継みたいなこと!」 されたんだ。それはまあ、うん。今の状況も分かるかも。 「ま、まあ、委員長落ち着いて……」 「これが、これが落ち着いていられるわけないでしょ!」 うわ、駄目だ。完全に委員長が壊れてる。 なんだか、住倉さんがさっきの携帯での件を仕返しをしているように見えるけど、多分そうなんだと思う。 「でもトイレで話し掛けられるってどういうこと?」 トイレの扉の前に立ってた、にしては反応がおかしい気がする―― とここまで考えてすぐに「ああ、そっか」と自分で納得してしまった。 二階のトイレの隣は物置。つまりさっきまで住倉さんが住処にしていたところ。 トイレと物置の間の壁は非常に薄いから、僕も経験があるんだけど、トイレに入っているときには物置で何か探しているときにはごそごそと大きな音がする。つまり逆に、物置に居る人はトイレの中の音がほぼ筒抜けになってるってこと。 「理解したようね?」 口角をほんの少し上げる、住倉さん独特の笑い顔。 「うん」素直に答えた。「何となく想像できちゃった」 「想像しないでくれるっ!?」 僕の向かいに座っていた委員長が、ちゃぶ台返しでもするかと思ったくらいに突然上半身を起こしたから、僕はびくりとした。 「はあ……疲れた。とにかくややかは今日から隣の部屋を使いなさい」 「嫌だと言ったら?」 「あなたの親に連絡して、今すぐ引き取りに来てもらうから」 携帯を掲げる委員長。 「ぐっ、卑怯よ」 「分かった?」 「……分かったわ」 相変わらず両親が弱点な住倉さんはなんとか、しぶしぶ、一応頷いた。 そんなこんなをしているうちに夕食の時間。 食べ終わったら、お風呂。で、また委員長が僕の部屋に来て勉強会。住倉さんは僕のベッドの上で、ただ漫画を読んでいただけだったけど。 とにもかくにもようやく一日が終わった。 な、長い一日だった。ほんの二、三日前まで一人暮らしだったのに、何故か、いつの間にか、あれよあれよという間に三人共同生活になってしまったけど、何とか僕は元気です。
https://w.atwiki.jp/oshikake/pages/18.html
「必要な家具があったら、さっきの部屋から勝手に出していいよ」 「分かったわ」 持って来ていたスポーツバッグを部屋の片隅へ移動させ、中から学校指定の手提げ鞄を取り出す委員長。この中に入れてたんだ。 「……あれ? ってことは学校も一緒に行くの?」 「何で一緒に行かなきゃいけないのよ。私は勝手に学校へいくから、あなたも勝手にして」 振り返ることなく、中の物を出していろんな場所に配置する委員長。 「ん、分かった。着替えとかは?」 「もちろん持って来てるわ。だから箪笥が欲しいわね」 「そっか。それなら特に問題は無いかな。それじゃあ僕は1階に下りてるね」 「待ちなさい」 委員長の部屋を出ようと足を1歩出したところで声を掛けられ、僕はほとんど上半身のみで振り返る。 「どうしたの?」 「勉強、見て欲しいんでしょ。教科書と参考書も持って来てるから今からでも」 「あ、うん。でも夕飯の後でいいかな」 「別に構わないけど、何故?」 頬をかきながら僕は答える。 「お昼ご飯のときに食材使い切っちゃったから、ちょっと買いに行きたいんだ」 このままだと夕食が白いご飯と漬物のみになりそうだから、それは避けたいし。 「分かったわ。じゃあそれまでにどの教科を教わりたいのか考えておいて。私は部屋のレイアウトを考えたりして待ってるから」 「うん。あ、それとお風呂はご飯終わってからでいい?」 「構わないわ」 「了解」 頷いて僕は階段を駆け下りた。 夕食もお風呂も終わって、僕の部屋で勉強会が始まった。委員長の部屋の方が物が無くてすっきりしているけど、女の子の部屋でというのはやはり気が引けて、委員長を自分の部屋に招くことに。 お風呂に入った後も委員長は勉強をするからと普段はTシャツとハーフパンツというラフな格好で居るらしい。寝るときはまた別だって言ってたけど。 「パソコンにテーブル、本棚と箪笥……だけ?」 僕の部屋を物珍しそうに見回してぽつりと漏らす委員長。 「あまり物を置いてても部屋が汚くなるだけだから」 「……高校生とは思えない質素さね」 人差し指を額に当てて頭痛を示すようなポーズの委員長。 「そう?」 「とにかく始めましょう」 数学を教えて欲しいと夕食のときに言っておいたから、委員長は数学に関する本を全部持って来てくれていた。それにしても参考書合わせて……10冊くらい? 「そんなに読んだの?」 「まだ全部は解き終わってないわ。7割くらいってところ」 「それでも十分凄いよ」 満更でも無さそうな表情の委員長はこほんと咳払いして、「何からまずやるの?」と真摯な表情に戻って尋ねてきた。 「まずは学校で出された課題をやろうかな」 「そういえばあなたって課題提出率悪かったわね」 「うん……って、覚えてるのそんなこと?」 「特に提出物悪い人はね。あなたといつも一緒に居るもう1人の男子生徒……名前なんだったかしら。彼も悪かったと思うけど」 「隆二は……うん、まあそうだね」 多分委員長が言ってるのは澤田隆二という僕の友達のことを言ってるんだと思う。隆二は僕以上に成績も提出率も悪いけど、面白くていい奴。 「とにかく私の監視下に居るんだから、提出物が悪いなんてことは許さないわ」 「……お手柔らかにお願いします」 今日出されたのはプリントの課題。全部埋めて来いというものだけど……最初から分からない。 「ごめん、最初から……」 「最初から? ……ってここは高校2年のときにやったわよ」 「2年で?」 「そう。まだ今は新しい教科書始まったばかりだから課題のほとんどは2年のときのものばかりだわ。大問5のみね、新しい授業の内容は。……あなた真面目に授業聞いてたの?」 「あ、あはは」 実を言うとあまり授業は聞いていない、というか聞けていない。特に数学は数字の羅列を見ていると眠くなってくるし、教師の言っていることも良く分からなくてさらに眠気を誘われて……。 「じゃああなた、なんで理系選んだのよ。うちのクラスは理系のはずでしょう?」 「うーん、お父さんが理系だからかな」 「父親の背中を追うってわけ?」 「ちょっと違うけど……1番尊敬できる人がお父さんだから。その人に近づきたいと思うのは自然じゃないのかな」 お父さんの仕事はあちこち飛び回る必要があるから、家の中が疎かになるのが嫌な僕には合わないと思う。それでもやっぱり尊敬する人のやっている仕事には憧れがあるし、それに少しでも近づきたいから数学が苦手でも理系クラスに来た。……ちょっと後悔してるけど。 「それは、そうかもしれないわね」 「もう1つ」 「何?」 「文系科目の方がもっと酷いから、かな」 「…………はあ」 呆れた溜め息を吐かれた。委員長って溜め息吐くこと多いみたい。僕のせいっていうのもあるとは思うけど、それ以上に癖なんだと思う。 「そういえばまた質問なんだけど、委員長は何故こんな時期に来たの? お母さんは確か8日くらいには出掛けていったはずだから、時期考えると随分遅いような……」 「またその話? どうせ質問するなら最初にまとめて考えておきなさい」 「ご、ごめん」 委員長って学校と普段の態度、あまり変わらないんだ。文句言いながらも答えてくれるところとかも。 「昼にも言ったように、派遣する女子には条件が必要だったのよ。いくら学校長と親しいあなたのお母さんから言われたこととはいえ、簡単に頷いてた ら学校長として大問題でしょう? だから条件に当てはまる女子をまず決定して、その後に職員会議で本当にその女子でいいのか検討して……っていうのを繰り 返したそうよ。それでようやく私に決まったってわけ。その間が大体1週間くらい」 「そうだったんだ」 「もうこの話はいいでしょう。今更いろいろ聞いたって何も変わるわけじゃないんだから」 心底疲れたという表情で委員長は答える。確かに委員長としてはただでさえ進学する先とか勉強とかで頭がいっぱいなのに、さらに面倒なことを背負い込むことになったんだから大変だろうなあ。 「そうだね。……あれ、ここはどうだっけ」 2問目は自力で解けたけど、3問目は途中で詰まってしまった。1問目と同じように解けばいいと思ってたのに、なんかちょっと違う……? 「既にそれもやったわ」 「うーん……」 「……見なさい」 頭を押さえながら委員長が自分のノートの端に計算式を書いてくれる。ああ、ここが違ってたんだ。 「ありがとう」 「本当に全然駄目なのね」 「面目ないです……」 って言ってる傍から4問目で手が止まる。 見るに見かねてだと思うけれど、委員長は無言のまま立ち上がって部屋を出て行ってしまった。怒ったのかな、やっぱり。 大問5以外は2年の範囲だって言ってたっけ。 「2年の教科書って何処だったかな」 独り言で気づいた。自分の頭の悪さを自覚していたのに委員長に全部聞いて、自分で調べようとしなかった。もちろん授業のノートも普段取ってないから持って来ていない。今開いているプリントと計算用のメモ用紙のみ。 ……委員長も怒って当然だ。大分前、お母さんに勉強を教えて欲しいって言った時「教わるなら教わる側も最大限の努力をしろ」って言ってたっけ。 「確か全部隣の部屋に束ねて置いちゃったんだ」 眠くなってきたけど、もうちょっと頑張ろう。せめて委員長が起きてきたときに、間違ってるところだけでも教えてもらえるように。
https://w.atwiki.jp/oshikake/pages/22.html
「全く。往来が激しい場所で人の悪口なんてよく言えるわね。腹が立つよりも先に呆れた」 「い、いやあ、これはこれは委員長。どうしたんですか。いつもはもう教室に着いておられる頃だと思うのですけど」 妙な敬語の隆二をジト目で見る委員長。 「……そういう態度を取るなら、こちらもそれなりに対応するけど、その方がいいなら続けなさい」 「うひい!」 隆二の方が5センチくらいは高いはずなのに、なんだか背負っているものが鼠と龍くらい違うように隆二は震え上がっていた。 これは隆二の気が特別弱いわけではなく、うちのクラスの男子ほとんどがこう。その原因はそれぞれ違う。委員長の目つきが見る人によってはそれなりにキツくて見えるのが原因だったり、喋り方が断定的であるのが苦手だったり。 とにもかくにも隆二にとっては唯一の天敵と言っていいと思う。 「向井君」 「は、はい」 唐突に名前を呼ばれて、僕も思わず敬語になってしまう。 「ちょっと来て」 「……はい」 少し離れた路地へ一足先に入った委員長は上半身だけ通路に戻し、ゆるりと眉を上げてじっと俺を見る。どう見てもその様子は「早く来い」と急かしている。 「頑張って来い。骨は拾ってやる」 既に念じるようにして目を瞑った隆二。 「縁起の悪いことを言わないでよ」 お小言はある程度覚悟しているけど、それでもちょっと行きづらい。かといって行かなければどうなるかは想像に難くない。 前門の虎後門の狼。 意を決して委員長が呼んだ路地へ赴くと、腕を組み片足に体重を掛けて委員長が待っていた。 「あの……さっきのは……」 「時間が無いから手っ取り早く用を済ませたいの。いいかしら」 「う、うん」 少しずれた眼鏡を右手人差し指で元の位置に戻しつつ即座に委員長が言う。 「家の鍵、貸してくれないかしら」 「家の、鍵?」 「数学の教科書忘れて取りに戻ったんだけど、鍵が開いてなくて。さっき見つけてようやく追いついたの」 溜息をついた委員長の姿を見て、僕もつられて溜息をつく。今からこってり絞られるのかなと思ってたから、この溜息は安堵の溜息。 たまに鍵を植木鉢の下とか、郵便受けの中とかに置いているのをドラマとか本で見るけど、いつそれが見られて勝手に家へ侵入されるか分からないから、ああいう共有の仕方はお母さんには許せないそうだ。だから家族1本ずつ鍵を持つようにして、それ以外のスペアキーは無い。 「そ、そうだね。良かった、今からお小言を貰うのかと思ってた」 「言ったでしょう。時間が無いの。お望みとあれば帰ってからゆっくりするけど」 「遠慮したいかな……あはは」 「そうね。あたしもそんな無駄なことに時間を割きたくないわ。それに……」 一旦目を閉じてから僕から目を逸らし、 「もうこれ以上、そういうキャラとして見られるのは御免だわ」 と再び溜息。ごめん、委員長。「そんなキャラに思われてないよ」と否定できない。 儚げな印象すらも儚く、委員長は再び良く通る声で尋ねた。 「とにかく家の鍵、借りれるかしら」 「うん、いいよ」 昨日委員長が僕に数学を教えてくれたとき、忘れていったのかも。 家の鍵だけ取り外そうとして、キーホルダーからなかなか抜けなかったからそのまま委員長に渡す。 「普段はちゃんと入れたか確認するのに、昨日に限って忘れたの。……なんて言い訳してる時点でまだまだね」 「夜遅くまで付き合わせちゃったから。ごめんね」 「悪いと思うのならそこを謝まる前にもっと授業に集中しなさい」 「そうするよ」 鍵を受け取った委員長はそれを握り締めて、 「放課後……帰り際に渡せばいい?」 と尋ねる。 「そうしてもらえると助かるかな」 皆が残っているうちに、学校内で堂々と渡されると委員長がうちに居ることがバレちゃうかもしれないから、なるべく人が居ないときの方がいいんじゃないかなと思う。 「今日は多分クラス委員の仕事は無いはずだからすぐに帰れると思うわ。そうしたら昨日の続きを」 「続きって……勉強?」 「私があなたの家に居ることで、それ以外に役立つことがあるのかしら」 昨日のことを思い出したのかは分からないけど、また溜息をついた。平均すると一言ごとに溜息を吐いているんじゃないかな。 「……夜じゃ駄目かな」 「私、普段は11時に寝るようにしてるの」 「そうなんだ」 昨日は朝の2時くらいまでやってたから、普段よりも3時間くらいは遅かったってことを暗に批難してるのかな、やっぱり。 「遅く始めたら遅く始めた分、私の睡眠時間が遅くなるから」 「分かった。帰ったらすぐで」 「理解が早くて助かるわ」 学校から帰ってすぐに勉強なんて今までやったことないけど、委員長がせっかくやってくれると言うのだから僕も見習わなきゃ。 鍵を受け取った委員長はくるりと踵を返し、通学路の方へ戻らずにそのまま路地を進もうとする。 「あれ、委員長。そっちからだと遠回りになっちゃうよ」 背中しか見えていなかったけど溜息を吐いたのは聞こえた。 「……あなたはすぐに忘れるのね。私が今、あなたの家に居候しているってこと。多くの生徒の通学路である、そこの道を逆走してそのままあなたの家に向かったらどうなる?」 「あ、そっか」 なるべく他の生徒に見つからないように、タイミングを見計らって。これが鉄則。 「もう1つ、委員長」 「何? もうかなり走らないと間に合わないんだけど」 腕時計に目を落とす委員長。 「もしかすると昨日僕の部屋に教科書置き忘れてるかもしれないから、自分の部屋に無かったら僕の部屋も探してみて」 「ん」 小さく頷いて委員長は駆け出し、あっという間に路地を通り過ぎて曲がっていった。確か委員長って帰宅部だった気がするけど、足速いなあ。昔は陸上部とかやってたのかもしれない。今度時間があったら聞いてみようかな。 通学路まで戻ると、隆二が神妙な顔つきで僕を見ていた。 「だ、大丈夫だったか誠一」 「うん、何とか」 「な、何とか……だと……! 何をされたんだ誠一! まさか改造手術をこの時間だけで!? おのれ怪人委員長!」 「大丈夫大丈夫。何もされていないから。後、怪人委員長ってなんかすごく変だよ」 いい加減に返事をしたせいで、奇妙なことを言い出したから慌てて言い直す。 「いや、あれは危ない。実はあれはだな……」 隆二の特撮的想像設定を聞きながら、僕らはゆっくり学校を目指した。
https://w.atwiki.jp/oshikake/pages/19.html
「んあっ」 びくっとして、目を擦りながら上半身を起こす。何か嫌な夢を見ていた気がする。でも何を見ていたのか、細かくは思い出せない。 どうやら問題を解いてる途中で寝ちゃった様子で、記憶がおぼろげになっていた通り、大問3に入るよりも前で力尽きている。明日提出じゃないだけ良かったと思おう。 「あれ? 電気……」 僕の部屋の蛍光灯はよくある上から垂れてる紐を引かなきゃいけないタイプで、その紐は延長して無いからせいぜい15センチくらい。元のスイッチ はスイッチで入り口のすぐ脇。長い間放置していると勝手に消えるようなシステムは無い。少なくとも自分で消そうとしなければ消えないはずなんだけど……眠 る前に半分寝ながらも電気だけは消したのかな。 立ち上がろうとして肩から半纏がずり落ちた。 あれ、この半纏って確かまだ隣の部屋のカーテンレールに掛けておいたままになってた気がする。そろそろ寒くなってきたから出そうかなと悩んでて、結局出さなかったような。これも寝ている間に寒いからって取りに行ったのかな? 事実だとしたらもう夢遊病の域だなあ。 とにかく続きを解かなきゃと立ち上がりかけて、背中から入る電灯か月明かりか分からない光の影の中に僕以外の誰かが居るのに気づいた。 「わっ」 「きゃあっ」 僕は思わず大声を上げ、慌ててそこを離れる。同時に向こうも大声を出してひっくり返ったらしく、盛大に尻餅をつく音が聞こえた。僕は扉の方まで逃げて、蛍光灯のボタンを押した。 点かない。ってことはここで消したんじゃなくて蛍光灯の紐を引いたってこと? とりあえず泥棒かもしれないからここは一旦逃げ出して―― 「脅かさないでよね、もう」 「……へ?」 「そっちの電気点けて。こっちを点けてもそっちが消えてたら意味が無いわ」 聞き覚えがある声がそう告げた後、カチカチと音がした。 「蛍光灯、こっちは電源入れたからそっちもお願い」 「あ、うん」 言われるがままにスイッチを入れると蛍光灯が点灯し、その明かりのまぶしさに思わず目を瞑った。 ようやく慣れてきたところで目を瞬かせながらさっきの声の主の方を向くと、呆れ顔の委員長が立っていた。 「あれ、委員長。何してるの?」 「何、って……はあ。確かに私は何でこんなことしてるのかしらね」 僕の腰の抜けた姿を見て、委員長は溜め息を吐いた。 「……うわ」 「今度は何?」 「あ、あの……委員長」 「何?」 「その……服装が……」 「ん?」 自分の服装を見て委員長は、また溜め息を吐いた。今日だけでも吐いた溜め息は多分両手で数え切れないんじゃないかな。 「別に珍しいものでもないでしょう、ネグリジェなんて」 腰に手を当てて「また変なこと言って」とでも言いたげだけど素直に言わせて欲しい。論点が全然違う。 「一般的かどうかということよりもそのネグリジェ、透けてるよ……」 「……うっ」 ある意味絶妙な透け具合で、桃色のネグリジェは下着を着けているのは良く分かるけれど、その色や柄までは分からないという、人によっては1番危ない状況だったりする。さすがにこの格好はまずいと思うな、うん。 それに今まで意識したことは無かったけど、委員長って一般的な女子よりもスタイルがいいんじゃないかなと思う。だからこそこの状況は嬉しいような、困るような。 本気でそこに思い至っていなかったのか、それとも今まで僕が男であるという認識が無かったのか。後者ならば僕は悲しむべきなのかもしれないけ ど、とにもかくにも委員長は慌てて部屋の外へパタパタと走っていく。良く見ると足元にはウサギの人形みたいなものが付いたスリッパを履いていて、委員長が 走っていくのに合わせてそのウサギがヘッドバンギングでもしているかのようで、ちょっと笑えたのは眠たい頭を無理やり起こしているからかもしれない。 結局なんであんな暗がりで黙ってじっと立っていたのか良く分からなかったなあ。とにかく委員長が出て行ってからあまり進んでないし、さすがにもうちょっと頑張って続きを解かないと。 大きく伸びをして半纏を着てから机に向かうと、さっき部屋を出ていった委員長が同じ色のカーディガンを上に着て、今度はしっかり前を止めて戻ってきた。 「どうしたの? 忘れ物?」 「違うわ。……あなた、今日はもう寝るつもり?」 「全然進んで無いからもうちょっとやってから寝ようかなって思ってるよ」 また全然進まなければ、今度は学校でも委員長に怒られそうだから。学校でも家でもっていうのはちょっぴり勘弁してほしいかな。 「でしょうね。だからよ」 「……?」 僕は首を傾げる。その姿に一瞬眉を顰めた委員長だったけれど、すぐにその表情を溜め息に変えてから僕の右斜め前に座った。 「見てあげるわ、勉強」 「あ、でも……」 「さっきは悪かったわ。同じクラスの同じ年だからこれくらいは出来て当然、なんて思ってたけどそうとは限らないのよね。私が浅はかだったわ」 「ううん、そんなこと無いよ」 ちらりと僕を一瞥してから委員長はすまし顔で言う。 「ま、出来が悪いのには変わりないものね」 「うん」 「……ちょっとは否定しなさい」 僕の即答にまた溜め息が出る委員長。 「でも本当のことだから」 「本当でも、少しくらいは言い方に気をつけてくれとか、言うことはあるでしょう」 「言って欲しかったの?」 「別にそういうわけじゃないわ。……でも、プライドは無いの?」 あはは、と僕は笑って首を振る。 「プライドを持っていいのは努力した人間だけだってお父さんが言ってた。確かに僕もそうだと思うよ。努力もしないで言われることを否定するだけの人間はろくな人間にならないから、ちゃんと努力して結果を出してから十分に言い返すことにするよ」 「……そ。それでいいならそうすればいいんじゃないかしら」 「うん。だからもうちょっと頑張るよ」 それから勉強会は、委員長にまた何度も溜め息は吐かれたけど怒られたり、部屋を出て行ったりはされずに夜更けまで続いた。
https://w.atwiki.jp/oshikake/pages/30.html
「……なるほど。事情は分かったわ」 「ごめん」 委員長がクラスの仕事を終えて戻ってきてすぐ。僕と委員長、住倉さんの3人はリビングに集まって報告会を始めた。専ら状況説明は僕がしていたんだけど。住倉さんが混ざると、毎回茶々が入るから一向に進まないから委員長が僕だけが喋るように進めたのもあるんだけど。 「別に謝らなくても。あなたが悪いわけではないんだから」 「そうね」 「ややかは黙って」 「ふふ。相変わらず辛辣で素敵よ、友香」 こんな感じでずっと続けていたのだけど、どうやら委員長も最終手段に入ったらしい。 「分かったわ。じゃああなたの両親に言ってもいいのね」 「……」 なんと、さっきまで茶々を入れては話を止めていて、委員長がどれだけ黙らせようとしても黙らなかった住倉さんが、たったヒトコトで沈黙した。 「男子生徒を騙してその家に押し入り、共同生活を強要した挙句、その男子生徒の秘密を盾に――」 「わ、分かったわ。分かったから、それはやめて」 沈黙の次は顔色を変えて住倉さんが隣に座って、携帯電話を取り出し掛けた委員長の腕を両手で掴んだ。 あの、と称するのは悪いけれど、住倉さんがこんなに慌てているのは初めて見た。 「向井君」 「あ、何?」 「ややかが変なこと言ったら、この電話番号に――」 「だ、駄目」 手をぷるぷると震わせている住倉さんは一回り体の大きい兄弟に餌を取られて、それに追いすがる末っ子動物みたいだった。 「――迷惑掛けないって誓える?」 「誓う」 ありえないくらいに即答だった。 「なら教えたって使わないし、教えておいてもいいわよね」 「駄目。絶対に駄目」 とうとう住倉さんは半泣きになってしまった。委員長、おそるべし。 「向井君、何かあったら私に言って。この子の弱点は両親への報告なんだけど、あなたは面識無いでしょうから」 「あ、うん。でもあの……住倉さんは大丈夫、なの?」 「大丈夫。数時間と経たない内にケロっとしてまた悪さするんだから。……ややか、変なことしなければ私も報告する必要は無いの。いい? 普通に生活しなさい、普通に」 「わ、分かったわ。善処する」 未だ目の端に涙を溜めた住倉さんは歯噛みしながら委員長を見ていた。 「そんなに睨むんじゃないの。私だって好きでこんなことしてるわけじゃないんだから。あなたの両親だって、毎回そんなことで連絡されたら困るでしょう?」 なんだか万引きを見つかった補導員みたいな口調の委員長。 「……ええ」 「ほら。涙拭きなさい」 ポケットから花柄のハンカチを取り出して、住倉さんに渡すと目許を押さえた。 「まだ制服だから、先に着替えてくるわ。そういえばややかの部屋ってどうするつもり?」 「あ、それなんだけど、一応僕の部屋の隣が空いてるから、そこを使ってもらおうかなと思ってる。荷物は2階の物置と外にある倉庫に置けばいいし」 「じゃあ片付けないといけないわね。でも今日中に片付けるのは大変かもしれないし、なんだったら私の部屋と共用でも構わないけど」 「急だから全部の荷物を運び出せないかもしれないし、そうすると最初は住倉さんにちょっと狭い思いさせちゃうかもしれないけど、ちょっとそれで我慢して貰えるかな?」 無言のまま、頭を縦に振って肯定の意を表す住倉さん。やっぱりちょっと言いすぎだったんじゃないかな。 「だったら尚更着替えてこないと。ちょっと待っててもらえるかしら」 「分かったよ」 自分の部屋に戻っていった委員長を見送ってから、押し黙っていた住倉さんは「悔しいわ」と言葉を漏らした。 「何で?」 「せっかくだから、友香の下着をハンカチと入れ替えてあなたの制服のポケットに入れておいて『あ、間違えちゃった』的な展開を期待していたのに。あんな予防線を張られていては無理だわ」 ああ、僕の憐憫の情はどこへやら。この不思議娘さんは全然反省していない。 最近知り合ったばかりとはいえ、この住倉さんなら本気でやりかねないと思う。 「…………」 「更に誠一の体操服と友香のネグリジェを入れ替えて、」 「委員長! 今すぐ住倉さんのご両親に電話してお引取り願って!」 立ち上がってリビングの扉を開けて叫んでみた僕に、休日遊びに行く約束をしていたのに仕事が入ったからと、部屋を出ようとした父親を止めるために抱きつく子供みたいに住倉さんは僕の腰に腕を回して自由を奪おうとする。 「ちょ、ちょっと待って。冗談、冗談よ」 でもそんな焦った顔の住倉さんは思った以上に可愛い、と言ったら本人は怒るだろうか。 ……怒らない気がするなあ。 「それ以前に、そんなことして僕と委員長が一緒に住んでいることがバレたら、連鎖的に住倉さんのこともバレると思うんだけど」 「別にいいけれど? クラスメイトの噂なんて馬耳東風だもの」 「でも学校側からお願いされた委員長は良いとして、住倉さんは完全に個人でうちに来るのを決めたんだから、学校側にバレたら確実に両親に連絡されるよ?」 「…………ま、まずいわね」 そこまで気は回ってなかったんかい! と思わず突っ込みそうになってしまった。 「でもそんなに嫌なの? ご両親に連絡されるの。うちに住み込みを始めたことの報告如何は別として」 「心配させたくないだけだわ」 「でもそもそも1人暮らしだったら心配するんじゃない?」 「いつものこと、だから」 言った住倉さんの表情は、ブランコを漕いでいれば絵になりそうなほど、開け放った窓から吹き込む風に揺らす髪と共に哀愁を棚引かせていた。 でも良く考えれば僕も同じような状態なんだっけ。あまり人のことを言えないんだけど、確かに僕も慣れっこかな。